2006年03月05日

ゾイドジェネシス:「決別」


 閣下祭。行動原理のファンタジーめいた裏付を抜きにして、普通にカッコよかった。


 「ディガルドは世界の下にあるが、世界は神の下にある……そして私は神だっ!!」という論法を呈しつつ、ディガルド軍の全土進撃を高らかに宣言してる武帝陛下。肖像の画風がやたらと煩い。小悪党っぽいキャラデザの上に、電波な発言、そして何気なしに拳を握って声を張り上げてる構図はいつしかの使い回しですが、いまのところ陛下の優勢は揺るぎがたいのでまあ。

 相変わらずサンタ服のフェルミさん。今日は作画が妙に大人しい。

 武帝陛下の「神発言」に否応でも退き気味のゴザイル大佐&部下らしき人(「ゴザイルって誰?」という人は、メガラプトルに乗ってた妙にカッコいいオールバック男児を連想すれば完璧)。そこに回廊の向こう側から、ガシャン、ガシャンと露骨な足音を立てつつ近づいてくる物影が。それに対して「貴方は……」と静かに驚きを呈しているゴザイル大佐。その義手に、濃緑の軍服、そしてディガルド士官から「貴方は」と密かに敬意を表されてる人物。――まさか。

 機械化フラグ、オオアタリ……



 リーオの弾って、こんな感じなんだ。どこら辺がメタルZi? 炸裂するのか。

 「リーオの弾、みんなに配ってきたわ」と報告してるレ・ミィ嬢。前から気になってたんですが、砲弾をそれぞれの部隊に配給したところで、ゾイドは機種ごとに装備されている砲塔が違う=口径が違いますから、皆が皆、リーオの弾を装填できるわけじゃ……セイバータイガーなんかは主力が光学兵器だし。ここら辺の問題はどうするんだ、ゾイドジェネシス。それともソラノヒトは砲弾を口径ごとに造り分けるという、気の利いた仕事をしてくれたのか。……とてもそうとは思えませんが。

 ズーリの街で保護されたらしいソラノヒト。曰く、「食べ物の生産は全自動だった」、「床(=地面?)が柔らかくて気持ち悪い」、「臭いが嫌」、「空気が埃っぽい」云々。(これでは先が思いやられるわ)とはダ・ジンさんの言。もはや嘆き。しかし同じディガルドに故郷を滅ぼされた身として、同情を煽られることに際限はないようで。

 「同情は、連帯を拒否したときに生まれる」という格言がありますが、するとこれは真の同情か。

 戦時の世界って、時たま平時より美しいorz


 雪景色の中を疾走するヴォルケーノ。ディグが近い証拠か。

 道中、バイオゾイドに襲撃されてるグスタフを発見するザイリン閣下。あの某共和国の国旗から稲妻をかっぱらってきて、バラを添えた身勝手な部隊章は。「私の部隊ではないか!」と驚きを隠せない中将閣下。「このままでは……」と窮地に立たされていたゴザイルくんに、「状況は後で話してもらうぞ」と断ってからグスタフに注がれる火線をヴォルケーノで食い止めたザイリン閣下。しかし「私はザイリン中将だぞ!」と主張したところで止まぬファイアブレス。放たれる火球を紙一重でかわしていくヴォルケーノですが、避けちゃったら後ろのグスタフが。攻撃を続行する襲撃部隊に、「止むを得まい――ならば倒すまで!」といよいよ戦斗機動に移行したザイリン閣下でしたが……

 フェルミさんの入浴シーンでカットされる閣下の戦闘シーン。

 フェルミさんが「なんか、つまらなくなっちゃった」ともらしているうちに、しっかり狐色に焼き上がってるバイオラプター部隊。活躍を入浴シーンで潰されたザイリン閣下は哀愁漂い過ぎ。バイオゾイドがバイオゾイドをどうやって倒すのか、気になるところだったのに……さておき、ゴザイル大佐から事の顛末を語られたザイリン閣下。曰く、「ゲオルグ少将に質問したら、反乱分子と見なされました」。

 なんというか、復活早々ゲオルグしてるなぁ。

 むしろ復活はいいですけど、これは機械化というより安っぽいCG化だ。全身機械なのに、その意匠は生前の姿を無駄に再現しようとしてるし……私としては、帰ってきた某ダ○ー大佐を彷彿とするようなステッキーな作画を期待してたのですが。


 「いまのディガルドは、中将の知っているディガルドではありません!」とゴザイルくんに忠告されつつも、「ジーンに訊きたいことがある」ということでディグに赴いたザイリン閣下。首都に堂々と居並ぶバイオゾイドを横目に、「いつの間にこれほどの増産を行ったのだ……」と嘆息されております。なんかゲオルグの復活に合わせて、バイオトリケラも量産化されてるし。 ブラックカラーか……私的に量産機はパープルで統一して欲しかったなぁ。

 どうでもいいけどディガルドのゾイド格納庫は、採光を考慮しているせいか窓がやたらと広くて似非ゴシック様式の風情を醸し出してますな。やはり寒冷地だから採光は重要なのだろうか……でも襲撃には脆そうだぞ。

 ヴォルケーノから降り立ったところで、「お疲れ様です」と声をかけられたザイリン閣下。「人が少ないな」と尋ねると、「転属やら何やらで人手不足なんですよ」と身の上を嘆き出した芯の細い若手士官。実は、この若手士官の台詞は恐ろしい伏線だったり……

 玉座の間の手前で、CG化ゲオルグと再会したザイリン閣下。「ようやく職務復帰だ」ともらしてるCG化ゲオルグは、実は「軍務復帰」な上に、首がグルグル回転しております。……歩行ギミックに連動して頚部が旋回、左腕の義手からBB弾発射、ゼンマイ駆動。万が一にも製品化したら、絶賛廃品は必至ですな。

 武帝陛下と対面した中将閣下。ジーン陛下とフェルミさんがソラノヒトだったという確認事項もそこそこに、「ヴォルケーノについて、私に話し忘れたことはなかったか?」と閣下が陛下に詰め寄ります。しかし素知らぬふりを決め込まれて、最終的には「共に歩んできたではないか。私を信じろ、ザイリン」とはぐらかされてしまう中将閣下。退室した後で「迂闊だったか……」と吐き捨ててるザイリン閣下は、ピュアなのか策士なのか判断しかねる。

 先ほどのバスシーンに引き続き、離反フラグをにわかに臭わせはじめたフェルミさん。ステキな生き様だ。


 ジーン陛下に体よく往なされて、命令通りに新しく任されることになった部隊の名簿に目を通していたザイリン閣下。上着を脱いだ姿もステッキー。しかし、不意に閣下の瞳孔が震え出したかと思うと、そこには「ウィプス・ド・ザルツ」の名が(「誰それ?」という方は、閣下の故郷で軍需工場の排気ガスで気管を患っていた友人を連想すれば完璧)。「ゾイドに乗れない奴がなぜ……?」と疑心に駆られたザイリン閣下、宿舎に赴いて彼の所在を確認しようとするも、一般兵に羽交い絞めにされて中に入れず。

 「なぜだ!? 私の部下になる男だぞ!!」
 「中将もご存知の通り、これは規則なのです。で、でなければ、私が処分されてしまいます!!」
 「……処分だと?」

 また恐ろしい伏線が垣間見えておりますね……

 CMを挟んで、トラフではルージ一行がソラノヒトの首脳部から打ち明け話を聞いている場面。どうやらソラノヒトは、ジーンを送り込んでディガルドを傀儡とした地上支配を目論んでいたらしい。「ソラでレッゲルが必要になった」というのは、名目に過ぎなかったということか。結局はジーンが優秀過ぎて、ソラシティーを落とされたわけですけど。あの悪代官を地でいく人相が優秀なんて……選ぶ言葉を間違ってますな。

 プロメさんの疑念としては、「バイオゾイドと人との適合率は極めて低い……なのに、あれだけの適合者をどうやって集めたのか」ということらしい。そういえば先週もそんなこといってましたっけ。「もしかしたら多大な犠牲を払って、それを実現する方法を編み出したのかも……」という憶測を立てたところで、場面は再びディグに移る(本当は行ったり来たりしてるけど)。

 「入れてもらえないなら、夜中に侵入してしまえ」ということで、屋根からロープを垂らして宿舎に忍び込んだザイリン閣下。「馬鹿な。これが宿舎だと? バイオゾイドを操縦する機械兵の倉庫ではないか」ともらしていると、ふと目の前のハニワに「ウィプス・ド・ザルツ」の名が掘り込まれていることに気づいてしまいます。さらに「ザイリン……」と呼びかけてくるハニワ。信じられないといった表情で眼前の機械兵の肩をひしと抱く閣下でしたが、機械兵=ウィプスの述懐は続きます。

 「機械兵など……ない。バイオゾイドと適合し、操縦ができるようにと、生きながらこんな姿にされたのだ……ここにいる者は、いやバイオゾイドの操縦者はすべて、元々は人間……病人も、大人も、子供も、関係なしだ。――バイオゾイドに乗ったら、命令に逆らうことができなくなる。もう誰も傷つけたくない。……苦しい! ここから出してくれ。俺を楽にしてくれ。ザイリン――友よ!」

 この告白シーンが、閣下の決起に重々しい意味を添えてくれるのですが……問題はこの後よ。


 「少し待て! ここが外れそうだな……いま出してやるぞ!」といいつつ、友の告白に錯乱しながらも必死に彼を助け出そうとするザイリン閣下。そして、遂に明かされるハニワの中身……!!

 「これは……」
 「これが、俺の――」

 「タマシイ!?(○△○;)」(英訳:Is it your soul!?)

 思わず、閣下と一緒に絶句してしまいました。フォントサイズが変わるほど相当なものでしたよ、ええ。そのまま「ああ……体が軽い。俺は、自由だ! ――ありがとう、ザイリン」といい残しつつ、天に昇りながら闇に消え入ってしまったウィプスさんの魂。これはアリか? 正直いって幻滅ですぞ。ここはやはり脳髄だけ取り出されたという悲惨極まる設定が。やっぱり魂じゃ、明らかにリアリティ=重みに欠けるでしょうが。

 その後、周りのハニワたちから「俺も助けてくれ!」、「私も楽にして!」と念じるように愁訴されて閣下発狂寸前。その頃、「ジーンは周りの人間を道具としか思っていない……まさかジーンに、あんなしっぺ返しを食らわされるとは」とこぼしていたプロメさんが、オジサマたちに「貴方々もジーンを道具としか思っていなかった。その心がいまの状況を招いたのです」、「大馬鹿者め」、「あなた方もジーンと同じです。もう間違いに気づいて下さい!」と散々にこき下ろされていたり。

 「ただの機械兵だと思っていた……道具のように使っていた……私は間違っていた――!!」と心の中で叫びつつ、倉庫に並べられた機械兵の魂を解放していくザイリン閣下。天に向かって、笑い声とともに清廉な光を放ちながら消えゆく魂の一群……こういう演出は好きなんですが。「私は過ちを犯した……その償いをしなければならない!!」と決意を表明してる閣下もカッコいいですし。もう、今回のゾイドはファンタジーだから。ミリタリなゾイドとは相容れないものだから。

 もはや全面的に容認の方向で。

 「「真の敵は――ジーン!!」」と、ディグとトラフで図らずも意気投合しちゃってるザイリン閣下とルージくん。二人の中で、ジーン陛下のイメージが醜悪を極めた瞬間。


 決意を表明したザイリン閣下、「こんなものは、あってはいけないんだ!」と早速ヴォルケーノで大暴れ。しかし、その背後から弩級のファイアブレスが。「来たか――ジーンっ!!」と後ろを振り返れば、明らかにサイズが大き過ぎるバイオティラノが。閣下は死相が入ってるし。遠くのバルコニーでは、フェルミさんが「私はただ……面白いことがしたかっただけなのに」といいつつ何かの紙片を破り捨てております。

 「私を裏切るのかザイリン?」
 「……」
 「ただの青二才だったお前を、ここまで引き上げてやったのは誰だ――答えろ、ザイリン中将!」
 「……彼は、死んだ」
 「?」
 「君の野望のための部品に過ぎなかった、ディガルドのザイリン・ド・ザルツ中将は死んだ!」
 「……では、お前は誰だ?」
 「我が名はザイリン――ゾイド乗りのザイリン!! 真なる敵に立ち向かう、ザルツ村の男だ!」

 閣下、カッコ良すぎだぁぁああ!! なんだ、この熱い展開は。ここで「ゾイド乗り」であるこを引き合いに出されると、無闇に燃えてしまうこのゾイダー根性をどうにかして。さらに「何が友か! 偽りの言葉は要らない!」と皮切りを飾ったり、「はぁぁぁあああ!!!」と絶叫しつつルージくんのエヴォルトのごとくいつの間にか勝手に扱えるようになったバイオ粒子砲を発射したりと、今日の閣下は本当にザイリンファン冥利に尽きるといった感じ。バイオ二強が対峙してるシーンも、先週の次回予告に炎の演出が加わってよりステッキーに。

 腰部のバーニアを駆使して、周りの建物を足場に利用しつつ、バイオティラノの撹乱を試みるザイリン閣下。「そこだっ!!」と背後から飛びかかったものの、あのセイジュウロウ師匠の高速機動さえ難なく打ち破ったテイルアタックを前に、地面に叩きつけられてしまうヴォルケーノ。そのまま足首を咥えられて、頭上で豪快に振り回され……いつの間に足首にボールジョイントを仕込んどいたんだ、閣下。じゃなかったら、今頃とっくにヴォルケーノの片脚がもぎ取られてますぜ。


 「頭上で豪快に振り回し→建物の壁に投げつけ」を決めたジーン陛下。「消えろ」とトドメの粒子砲を放ったところで、バイオプテラがヴォルケーノをキャッチ。そのまま戦線離脱。「フェルミ!? なぜ君が私を助ける……二度とジーンのもとには戻れんぞ」というザイリン閣下に、「ほんの気まぐれ……」とだけいい放ったフェルミさん。……その離反決行も、前々からフラグを貯め込んでいた閣下と比べてしまうともろに唐突過ぎる感が否めない。

 そんな理不尽な生き方に、むしろ魅力を感じてしまう私は駄目ですねというか風来人。

 「我は、唯一絶対神ジーン。我に絶対服従を誓い、白旗を掲げよ。さもなくば、死あるのみ。この世界は絶対神ジーンが支配する。お前たちすべての命、家も、財産も、すべてのものは私の手の中にある。絶対神ジーンに支配されることに喜びを感じる者は良し。それができない愚か者は、たとえ一瞬たりとも生きてはいかれないものと知るべきである」
 (↑フェルミさんが破り捨ててた紙片の内容)

 ……ただ単に電波な発言に退いて、陛下を見限っただけか、フェルミさん。

 今回は前述の通り、ザイリンファン冥利に尽きるお話。魂ネタを除けば。でも、やはり子供相手に製作できるアニメとしては、あれくらいの描写が限界か……? 流石に脳髄は凄惨過ぎる。魂でなければ、あんな演出はできませんしねぇ。そもそも今回のゾイドは世界観自体がファンタジーめいてますから、これは是認してしまう方向で。諦観がすべてを解決する。

 ザイリン・ド・ザルツって、「ザルツ村のザイリン」という意味だったんですね。貴族じゃなかった。

 芯の細い若手士官が嘆いていた「転属や何やらで人手不足」や、宿舎まがいの倉庫で閣下にお引取り願ってた士官の「処分」という言葉は、ゾイドに乗れない将校たちの機械兵化を暗示していたのでしょうか……なんか破滅への階段を転げ落ちてるなぁ、ジーン陛下。

 ゲオルグさんは復活しましたけど、もはやソウタくんが四天王として再起不能なので、結局バイオ四天王が一堂に会することはなかった……裏切ったな。窪内さんみたいに僕を裏切ったんだ、製作班! 裏切ったといえばハウンドソルジャーやカノンフォートは、ここに至って未登場のまま終わってしまうのでしょうか……再販は冷かしだった。

 ザイリン閣下とフェルミさんが離反。いまやディガルド陣営の主要キャラが、ジーン陛下とゲオルグさんだけに……ザイリンvsルージ、フェルミvsコトナも永久にお預けですね。特に後者はまともに見たことがありませんぞ。

 まあ、ダイジェスト↓ またの名を閣下祭。最後の最後に、不純物1枚混入。

閣下、閣下、閣下♪

 次回「神の雷」。表題だけ聞くと、ギ○ベイダー登場フラグに聞こえなくもない。……望み薄orz


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Posted by ねたろう at 23:05│Comments(2)ゾイドジェネシス
この記事へのコメント
昔ゾイド系の本で読んだのですが惑星ziの人間は
zi人と地球人のハーフだそうです
zi人はゾイドと同じような金属物質を含んでいるが
見た目は地球人と変わらないそうです

タマシイ=(zi人のゾイドコア)だと解釈すれば不思議では
ないと思います
Posted by ゆーき at 2006年03月08日 17:04
このような僻地にコメントありがとうございます(笑)。

いや、惑星Zi人にゾイドコアはないようですよ。
古代ゾイド人は、あの星の生物学上「金属粘膜生体」に位置づけられまして、
その記述には「ゾイドコアを持たないが、金属の分泌物で体をコートする能力がある」とあります。
(ちなみに、ゾイドコアを持つメカ生体は「金属外骨格生体」に分類されるそうで)

仮にアレがゾイドコアだったとしても、宙に浮かんで消えてゆく……では、
やはり非科学的な臭いがプンプンしまして、私としては甚だ「興醒め」の感が否めないわけですよ。

――しかし、私はあの演出は普通に好きでしたよ。
逆に魂じゃなかったら、「光の一群が天に昇っていく」なんてステッキーな描画は実現しなかっただろうなぁ、と。
そう考えると、「アレは魂であることが必然」という諦観めいたスタンスも有り得るわけで。

それに今回の「ゾイドジェネシス」は、
前アニメシリーズやバトストのようないわゆる「ミリタリ」的なゾイドではなく、
「ファンタジー」としてのゾイドを開拓していくのが一つの課題のような気もするので、
これはこれで良いかなぁ、と。

……まあ「魂」じゃなくて「脳髄」だったら、文句なしに良展開だったのですが。
Posted by ねたろう at 2006年03月09日 15:06
 
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